永遠のディーバ

作者:垣根涼介|新潮文庫 リストラ代行業に勤める村上真介が主人公の4作目。 リストラの対象となった人たちに退職を勧めるための面談を行う。 結構シビアな展開なのだが、結末は希望を与える内容になっている。 「勝ち逃げの女王」は航空会社のキャビンアテ…

保身

作者:小杉健治|双葉文庫 県警の幹部が署員の送別会に顔を出し、愛人宅に向かう途中、ひき逃げをしてしまう。 その少し前に、現場近くのマンションで、強盗殺人が発生していた。 強盗殺人の犯人は逃走する際に、ひき逃げ事件を目撃。 容疑者として逮捕され…

華、散りゆけど

作者:海道龍一朗|集英社文庫 真田幸村の大坂冬の陣、夏の陣を描いた作品。 史実に沿って描かれるのだが、ストーリーに真新しさはない。 それでも、家康に立ち向かうワクワク感はある。 冬の陣が始まるまでの、内部の調略に対する備えは冴えている。 ただ、…

ナンバー

作者:相場英雄|双葉文庫 文庫本裏書 警視庁捜査二課。 殺人などの凶悪事件を担当する捜査一課とは違い、横領や詐欺といった狡猾な知能犯と対峙する。 その二課に所轄署から配属された西沢警部補は、独特の操作方法や同僚をライバル視する捜査員に戸惑いな…

三日間の相棒

作者:永瀬隼介|中央公論新社 埼玉県北部の警察の会計係で働く佐藤龍二は、かつて県警の捜査一課のホープだった。 ホスト殺害事件の捜査に乗り出すが、上層部の裏金に上申したことで、左遷された。 離婚し、失意の生活を送っていたが、ホスト殺害の現場で、…

屑の刃 重犯罪取材班・早乙女綾香

作者:麻見和史|幻冬舎文庫 文庫本裏書 中央区日本橋。 男性の「損壊」遺体が発見された。 腹部を切り裂かれ、煙草に吸い殻と空き缶が詰め込まれた死体の意味は? 大手新聞社を辞めCS放送の報道記者として取材する早乙女綾香は、十年前の大阪での殺人事件の…

池田屋乱刃

作者:伊東潤|講談社 幕末の京都で起きた池田屋事件を描いた連作集。 一つ目の話は、新撰組のスパイだが、次第に志士の熱に共感する福岡佑次郎。 二つ目は土佐藩の北添佶摩の話で、北の蝦夷の備えを唱えつつ、事件に巻き込まれる。 三つめは池田屋事件の中…

北斗

作者:石田衣良|集英社 幼少時から両親に激しい暴力を受けて育った端爪北斗。 異常なほどの暴力で、人格をゆがめられてしまう。 高校に進学した頃、暴君の父が精神病院で死亡する。 母は、北斗に父と同じ様な暴力を望む。 保護司に相談した北斗は、綾子とい…

介護退職

作者:楡周平|祥伝社文庫 文庫本裏書 三國電産北米事業部長の唐木栄太郎は取締役の椅子も目前。 妻と名門私立中を目指す息子と家族三人で、都内の自宅で絶好調の年末を迎えていた。 そんなある日、秋田で独居する老母が雪かき中骨折したと電話が入る。 その…

地の底のヤマ(上・下)

作者:西村健|講談社文庫 大牟田の三池炭鉱を舞台にした大河小説。 昭和30年代の三池争議や、炭鉱の爆発事故を経て、昭和49年から第1部がスタート。 殉職した伝説の警察官を父親に持つ、主人公の猿渡鉄男が警官としてデビューする。 炭鉱の労組が新旧に分か…

破断 越境捜査3

作者:笹本稜平|双葉社文庫 警視庁の鷺沼と、神奈川県警の宮野のコンビを描く第3弾。 10年前に行方不明になっていた右翼の大物の白骨死体が発見される。 拳銃自殺だと思われたが、現場にいた宮野は、その拳銃が警察のニューナンブであることに気付く。 鷺沼…

旅屋おかえり

作者:原田マハ|集英社文庫 文庫本裏書 あなたの旅、代行します! 売れない崖っぷちアラサータレント「おかえり」こと丘えりか。 スポンサーの名前を間違えて連呼したことが原因でテレビの旅番組を打ち切られた彼女は始めたのは、人の代わりに旅をする仕事…

首都感染

作者:高嶋哲夫|講談社文庫 文庫本裏書 20xx年、中国でサッカーワールドカップが開催された。 しかし、スタジアムから遠く離れた雲南省で致死率60%の強毒性インフルエンザが出現! 中国当局の封じ込めも破たんし、恐怖のウィルスがついに日本に向かった。 …

怒り(上・下)

作者:吉田修一|中央公論新社 東京の郊外で、若い夫婦が惨殺された。 犯人はすぐに判明したが、行方をくらました。 千葉の漁協の職員・洋平は、少し頭の足りない娘の愛子を持て余していた。 愛子はふらりと流れ着いた田代という男と恋仲になる。 同性愛者の…

信長の二十四時間

作者:富樫倫太郎|NHK出版 天下を目前にした織田信長。 彼が虐殺した伊賀衆の生き残りが、信長の命を狙う。 連歌師として名高い里村紹巴が首領で、のちの石川五右衛門と思われる忍びが手下にいる。 紹巴は、京の貴族に取り入り、明智光秀の信頼を得ている。…

フォルトゥナの瞳

作者:百田尚樹|新潮社 幼い頃に火事で家族を失った木山慎一郎。 彼は、自動車の塗装工場で働いている。丁寧な仕事ぶりだが、夢も希望もない。 ある日、出勤途中に、腕が透明になっている人を目撃する。 自分の目がおかしくなったのかと思うが、その後も透…

七つの会議

作者:池井戸潤|日本経済新聞出版社 東京建電は、家電の大手メーカーのソニックの子会社で、住宅関連の商品を扱っている。 若くして営業一課の課長になった坂戸は、課内の引き締めのため、年長社員の八角に辛く当たる。 八角はやる気がなく、外部から見れば…

刑事さん、さようなら

作者:樋口有介|中公文庫 文庫本裏書 「結婚したい女ができた」と明かした十日ほど後、警官が自宅で首を吊った。 その二日後、河原で風俗ライターの死体が見つかる。 後輩の自殺に疑問を抱き独自に聞き込みを続けていた警部補・須貝は、二つの不審死をつな…

柚子の花咲く

作者:葉室麟|朝日新聞出版 文庫本裏書 一人の武士の遺骸が河岸で見つかった。 男は村塾の教師・梶与五郎。 かつての教え子・日坂藩士の筒井恭平は師が殺された真相を探るべく隣藩へ決死の潜入を試みる。 命がけで人を愛するとは、人生を切り開く教育とは何…

夜の床屋

作者:沢村浩輔|創元推理文庫 大学生の佐倉と高瀬が晩秋の登山で迷い、ようやく降り立った駅で不思議な床屋を発見する。 表題作の「夜の床屋」が始まるが、不思議な雰囲気に満ちている。 「空飛ぶ絨毯」は絨毯だけ盗まれた謎を解く話。 「ドッペルゲンガー…

誰でもよかった

作者:五十嵐貴久|幻冬舎文庫 文庫本裏書 <今、渋谷。これから人を殺します> 男はインターネットの掲示板に書き込み、スクランブル交差点で突っ込んだ。 十一人を無差別にに殺し、センター街の喫茶店に籠城した男と交渉人の息詰まる攻防が始まる。 凄惨な…

姫君よ、殺戮の海を渡れ

作者:浦賀和宏|幻冬舎文庫 糖尿病の妹が、群馬の水上でイルカを目撃したという。 誰にも信用されず、傷心のまま戻ってきた。 兄の敦士は、妹の目撃を信じて、友人と妹と水上に向かい、調査を始める。 宿の娘のユカは、敦士に協力するが、イルカの姿をビデ…

特異家出人

作者:笹本稜平|小学館文庫 文庫本裏書 東京都葛飾区在住の資産家老人・有村礼次郎が突然失踪した。 質素で孤独な生活を送る老人と唯一交流のあった少女・奈々美の訴えで臨場した警視庁捜査一課特殊班捜査係の堂園晶彦は、有村邸の玄関から血痕を発見する。…

まぐだら屋のマリア

作者:原田マハ|幻冬舎文庫 東北出身の紫紋は、東京・神楽坂の料亭で修業をしていた。 故郷の母親に店に来てもらい、おいしい料理を食べてもらうのが夢だった。 ところが、この料亭で料理の使い回しが発覚。 告発したのは紫紋の後輩で、直後に電車に飛び込…

戯史三国志 我が糸は誰を操る

作者:吉川永青|講談社文庫 文庫本裏書 董卓に思い人を奪われた若き日の陳宮。 己の無力に打ちひしがれていた時「俺の臣になれ」と言う男・曹操が現れ、彼の人生を変えた。 名将に重用されながら、呂布に寝返った謀将。 その愚行の裏には知られざる熱い友情…

されど愚か者は行く

作者:永瀬準介|角川文庫 文庫本裏書 かつて実戦空手の最高峰「無双塾」で腕を磨いた藤堂忠之は会社をリストラされ、先輩の空手道場「闘心館」を預かることに。 経営危機に瀕する道場の再建を目指して活動を始めるが、お人良しな性格が災いし、様々なトラブ…

義烈千秋 天狗党西へ

作者:伊東潤|新潮文庫 天狗党の乱を描いた歴史小説。 主人公は藤田小四郎なのだが、他の人物も丁寧に描いている。 悪名高い田中源蔵は、内紛に振り回された美貌の剣士で小四郎のライバルとなっている。 小四郎は、田丸稲之衛門を大将に置き、筑波山で決起…

熱愛

作者:香納諒一|PHP文芸文庫 元刑事の鬼束は、新宿で探偵まがいの仕事をして、糊口を凌いでいた。 ある日、ヤクザの二男坊の仁科英雄が訪ねてきて、「兄を殺害した犯人をさがしてほしい」と依頼を受ける。 刑事を辞めた年に、仁科組の跡継ぎが、暗殺者に殺…

宿敵

作者:明野照葉|中公文庫 文庫本裏書 尽くし続ける女が鬼になる瞬間。 誰にもかえりみられぬ女がほくそ笑む理由。 美貌ととみに恵まれた貞淑な妻の素の素顔。 社会の狭間で生き抜く女たちは、今日もしたたかに、蜜やかに戦い続ける。 5つの話が収録された…

さよならのためだけに

作者:我孫子武丸|徳間文庫 文庫本裏書 「だめだ、別れよう」「明日必ずね」 ハネムーンから戻った夜、水元と妻の月はたちまち離婚を決めた。 しかし、少子晩婚化に悩む先進国諸国は結婚仲介業PM社を国策事業化していた。 PMの画期的相性判定で結ばれた男女…