姫君よ、殺戮の海を渡れ

作者:浦賀和宏幻冬舎文庫
糖尿病の妹が、群馬の水上でイルカを目撃したという。
誰にも信用されず、傷心のまま戻ってきた。
兄の敦士は、妹の目撃を信じて、友人と妹と水上に向かい、調査を始める。
宿の娘のユカは、敦士に協力するが、イルカの姿をビデオに収めたという村の不良の尾藤と対立する。
村人たちは何かを隠していること感じた敦士は、妹やユカに暴言を吐くようになる。
村を離れる日、ユカは敦士の妹をかばい、車に轢かれてしまう。
状態は深刻で、一生目覚めることはないという。
責任を感じた敦士は高校卒業後、看護師の専門学校に通い、群馬県の病院に就職する。
だが、ユカは転院しており、親が経営する宿もなくなっていた。
目的を失った敦士だが、ユカの看護の依頼が来て、川崎に赴任する。
ユカの状態はひどく、頭の形が変わり、凶暴になっており、何人もの看護師が負傷していた。
敦士は我慢強く看護を続けるが、やがて悲劇が訪れる。


前半の敦士はとことん嫌な奴として描かれるが、成長するに従い、純愛ストーリーになる。
でも、ユカの変質の理由はあまりにも荒唐無稽だ。