2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

怪談

作者:柳広司|講談社文庫 ラフカディオ・ハーンの「怪談」のオマージュ的作品集。 それぞれのタイトルもそのままで、展開も八雲の作品に沿っている。 「雪女」「ろくろ首」「むじな」「食人鬼」「鏡と鐘」「耳なし芳一」 怪談だが、ひねりもあり、ミステリ…

55歳からのハローライフ

作者:村上龍|幻冬舎文庫 文庫本裏書 晴れて夫と離婚したものの、経済的困難から結婚相談所で男たちに出会う中米志津子。 早期退職に応じてキャンピングカーで妻と旅する計画を拒絶される富裕太朗。 みんな溜め息をつきながら生きている。 ささやかだけれど…

ぼくたちの家族

作者:早見和真|幻冬舎文庫 東京の郊外に住む若菜家。 夫は広告代理店から独立し、環境にまつわる仕事をしている。 長男は大手の電機メーカーに勤務。次男は大学生。 妻は夫を助けるために、近所で働いていたが、現在は専業主婦。 ところが、妻の玲子に脳の…

追尾

作者:相場英雄|小学館文庫 みちのく麺食い記者シリーズ5作目。 主人公の宮沢賢一郎は、大和新聞者の記者で、外資系銀行の不正を暴くスクープを取った。 だが、当事者が自殺してしまい、賢一郎は不振に陥り、東北地方の遊軍記者となる。 警視庁捜査二課の田…

極北ラプソディ

作者:海堂尊|朝日文庫 財政破たんした北海道の極北市。 市民病院に新院長の世良が赴任する。 入院は断り、在来診察だけを受け入れる。 徹底的に規模を縮小する世良は、唯一の外科医の今中を隣の雪見市に派遣する。 今中は、将軍(ジェネラル)と呼ばれる速…

落日の宴(上・下)

作者:吉村昭|講談社文庫 幕末にロシアと日露和親条約を締結した幕臣・川路聖謨を描いた作品。 プチャーチンの強硬な姿勢にも屈せずに、交渉を行う描写は丁寧に描かれている。 元々、軽輩の出身でありながら、勘定奉行の筆頭になるだけの能力があった。 蛮…

水晶の鼓動 警視庁殺人分析班

作者:麻見和史|講談社文庫 巡査部長の如月塔子が所属する警視庁殺人分析班の3作目。 本作は、殺人現場がスプレーで真っ赤に塗られている現場から始まる。 同時期に、東京の人の集まる場所で連続爆破事件が発生する。 その後、殺人現場が赤く塗られている事…

春から夏、やがて冬

作者:歌野晶午|文春文庫 地方のスーパーで保安係を務める平田は、万引犯の末永ますみを捕まえた。 だが、亡くなった娘と同じ昭和60年生まれであることを免許で確認し、解放する。 ますみは自堕落な生活を送っており、同棲相手からDVも受けていた。 ますみ…

ヤクザと原発

作者:鈴木智彦|文春文庫 文庫本裏書 暴力団専門ライターの著者が、ジャーナリストでは初めて作業員として福島第一原発に潜入した。 高濃度汚染区域で4ミリシーベルトを食らい、防護服を着た作業のために熱中症で昏倒。 さらにヤクザと原発の密接な関係も…

ぎすぎすした話

大阪に住んでいた頃で、もう15年以上前の話だ。 法円坂の周辺のマンションに住んでいた。一人暮らしなので、基本は外食だった。 でも、貯金が全くできない生活を改めようと、自炊を始めた。 近くのスーパーで買い物をして、料理を作るようにした。 スーパー…

海狼伝

作者:白石一郎|文春文庫 戦国時代の海賊を描いた冒険小説。 対馬で海女の手伝いをしていた18歳の笛太郎は若い衆から大将と呼ばれていた。 朝鮮からかつての倭寇の将軍が対馬に戻ってきた時に、母から父の存在を明かされる。 村上水軍の末裔と聞かされたが…

ドルチェ

作者:誉田哲也|新潮文庫 文庫本裏書 元捜査一課の女刑事・魚住久江、42歳独身。 ある理由から一課復帰を拒み、所轄で十年。 今は練馬署強行犯係に勤務する。 その日、一人の父親から、子供が死亡し母親は行方不明との通報があった。 翌日、母親と名乗る女…

靖国神社でお祭り

仕事にちょっと余裕ができたので、職場から自宅まで歩いて帰っている。 靖国神社の近くまで歩くと、浴衣を着た女性がいて、人がたくさん。 そういえば、この時期みたままつりだったな。以前すぐそばに住んでいたが忘れていた。 人が多くて、歩きにくいのは仕…

ラバー・ソウル

作者:井上夢人|講談社文庫 裕福な家庭で育った鈴木誠は、ビートルズの評論を雑誌に寄稿している。 彼は非常に醜い容姿をしているため、人と会うことはなく、孤独に生活をしていた。 ところが雑誌の撮影で、モデルの美縞絵里と出会い、彼女に心を奪われてし…

心に雹の降りしきる

作者:香納諒一|双葉文庫 刑事の都筑は、7年前に起きた少女失踪事件で、冤罪をでっち上げ、被害者の親から金を巻き上げた。 少女の父親の井狩は、でっち上げでも都筑のことを信頼し、調査に口を出している。 その後も少女は見つからないが、民間の探偵が、…

螺鈿迷宮

作者:海堂尊|角川文庫 文庫本裏書 医療界を震撼させたバチスタ・スキャンダルから1年半。 東城大学の劣等医学生・天馬大吉はある日、幼なじみの記者・別宮葉子から奇妙な依頼を受けた。 「碧翠院桜宮病院に潜入してほしい。」 終末医療の先端施設として注…

硝子の葦

作者:桜木紫乃|新潮文庫 北海道の釧路でラブホテルを経営する幸田喜一郎は交通事故で意識不明の重体となった。 歳の離れた妻・節子は看病をするが、周囲に不穏な事態が発生する。 喜一郎と結婚する前から愛人関係にあった会計士の澤木と、喜一郎の前妻との…

くちぬい

作者:坂東眞砂子|集英社文庫 文庫本裏書 夫の定年退職を機に、東京から高知の山奥の白縫集落に移り住んだ夫婦。 美術教師だった夫の俊亮は趣味の陶芸に専念したい。 妻の真由子は放射能汚染の不安のある東京から逃れたいと思っていた。 老人ばかりの村で、…

消えた少女

作者:五十嵐貴久|双葉文庫 銀行員だった川庄は、医者の妻と離婚し、息子を引き取った。 吉祥寺のマンションのローンは妻が払うことになり、川庄は仕事を辞めた。 コンビニでバイトをしながら、息子を養い、夜はオカマバーで飲む日々。 オカマバーの京子か…

贖罪

作者:小杉健治|集英社文庫 大阪の繊維問屋の後継ぎの津村誠は、作家になる夢があった。 北新地の5歳年上のホステスの綾子と恋仲になるが、親の反対にあう。 誠は綾子と東京に駆け落ちをするが、作家の情熱は失せ、綾子のヒモに成り下がる。 綾子が自分に愛…