くちぬい

作者:坂東眞砂子集英社文庫
文庫本裏書
夫の定年退職を機に、東京から高知の山奥の白縫集落に移り住んだ夫婦。
美術教師だった夫の俊亮は趣味の陶芸に専念したい。
妻の真由子は放射能汚染の不安のある東京から逃れたいと思っていた。
老人ばかりの村で、若くみられた二人は歓迎されるが、
くちぬいさまと呼ばれる神を祀る通り道に、窯を作ったことで、嫌がらせを受けるようになる。


田舎の陰湿さを描いた作品。
作者は海外で生活していたが、出身の高知に戻り、住居を構える。
だが、そこで嫌がらせに会い、この作品を書いた。
長編としては絶作なのだが、初期のおどろおどろしい雰囲気に満ちていて、面白かった。
またこの路線でと思っていたら、作者は亡くなっていた。合掌。


くちぬい (集英社文庫)

くちぬい (集英社文庫)