贖罪

作者:小杉健治|集英社文庫
大阪の繊維問屋の後継ぎの津村誠は、作家になる夢があった。
北新地の5歳年上のホステスの綾子と恋仲になるが、親の反対にあう。
誠は綾子と東京に駆け落ちをするが、作家の情熱は失せ、綾子のヒモに成り下がる。
綾子が自分に愛想をつかしたのではないかという焦りと共に、綾子に男性の影が見え隠れする。
二人の関係は崩壊寸前だったが、綾子が自宅で殺害される。
第一発見者は夫の誠。別れ話の喧嘩を近隣の住民に目撃されており、誠は有力な容疑者となる。
誠は過去を悔い、自分は犯人ではないが、自らの情けなさのため、警察の筋書き通りに自供をする。
誠の弁護を担当する鶴見弁護士は、妻や大阪で捨てた家族への贖罪のため、誠が罪を被ろうとしていると見抜く。
生きる気力を失った誠を励ましながら、真犯人を探すため、地道な調査を開始する。


自堕落な男が、生活の支えを失い、自暴自棄になってしまうケースを救う弁護士の活躍を描いた話。
身近にありそうで、リアルな展開だったので面白かった。


贖罪 (集英社文庫)

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