心に雹の降りしきる

作者:香納諒一双葉文庫
刑事の都筑は、7年前に起きた少女失踪事件で、冤罪をでっち上げ、被害者の親から金を巻き上げた。
少女の父親の井狩は、でっち上げでも都筑のことを信頼し、調査に口を出している。
その後も少女は見つからないが、民間の探偵が、少女の失踪時の痕跡を持ち、井狩を訪ねる。
信憑性の高い証拠だと判断した井狩は、都筑を探偵に引き合わせる。
探偵の梅崎は、過去のでっち上げを知っており、都筑は恐喝かと思う。
梅崎は独自の調査を行い、都筑にヒントを与える電話を入れるが、何者かに殺害されてしまう。
梅崎の周囲を捜査する都筑は、失踪事件以外の市内の汚職事件を知る。
少女の失踪事件、梅崎の殺害事件を捜査する都筑。
もともと有能だった都筑を上司の小池がフォローする。
小悪党な刑事が正義感に目覚め、孤独な戦いを挑むストイックな変化は面白い。
さらに、都筑のもとに夫のDVから逃れてきた母娘が現れ、スリルは増していく。


この作者は良い作品を上梓しているけど、賞とは無縁で、あまり評価されていない。
この作品もいい内容で、面白かった。