水晶の鼓動 警視庁殺人分析班

作者:麻見和史講談社文庫
巡査部長の如月塔子が所属する警視庁殺人分析班の3作目。
本作は、殺人現場がスプレーで真っ赤に塗られている現場から始まる。
同時期に、東京の人の集まる場所で連続爆破事件が発生する。
その後、殺人現場が赤く塗られている事件がまた起きる。
だが、警視庁は連続爆破事件に人員を割かれ、塔子たちは少ないメンバーで事件を追う。
爆破事件と、塔子のチームが追う事件はリンクしているようだ。


このシリーズの特色は独特の殺人現場にある。
1作目はモルタルで固められた死体。2作目は死体の周囲に置かれたオブジェ。


殺人分析班が捜査の後に行う居酒屋でのミーティングがいい味を出している。
塔子とペアを組む警部補の鷹野は百金で買い物を趣味としている。
同じ警部補の門脇は他部署と喧嘩をしつつ、班内のまとめ役。
定年間際の徳重は、年齢に似合わず、ネットのコミュニティで自分の居場所を作っている。
尾留川は男前で、バイリンガルで、軽薄そうに見えるが、自分の強みを見つけられないでいる。


登場人物のキャラが魅力的で、ミステリとしてのストーリーも面白い。
次作も期待できる。