ぎすぎすした話

大阪に住んでいた頃で、もう15年以上前の話だ。
法円坂の周辺のマンションに住んでいた。一人暮らしなので、基本は外食だった。
でも、貯金が全くできない生活を改めようと、自炊を始めた。
近くのスーパーで買い物をして、料理を作るようにした。
スーパーのそばに個人経営の肉屋があった。昔ながらの雰囲気。
端にはコロッケやカツを揚げて売っているコーナーがあった。
メンチカツを揚げたてで売ってもらった。
店の人は若い夫婦のようで、接客もいい感じだった。
出来立てを持って帰って、家で食べたら非常においしかった。
その後、トンカツや他の揚げものも買ったが、いずれも美味しかった。
値段も安いし、メインのおかずはここで調達するようにした。
ところが、利用し始めて3か月くらいで、店のスタッフが変わってしまった。
若夫婦がジジババになった。コロッケはあるが、他のお惣菜はない。
いつものようにメンチカツを頼むと「そんなものはでけへん。」と言われた。
不愉快な返事だったが、以前の若いスタッフはどうしたのかと聞いた。
「そんなもん最初からいてへん。」という返事で、若手スタッフに逃げられた経営者なのかなと思った。
いつものように夕食を買いに行くと、見知らぬジジババに罵声を浴びせられたのは驚きだった。
もしかしたら息子夫婦に逃げられた親なのかもしれない。
理由はわからないけど、ほどなく肉屋はなくなり、更地になった。



近くには難波の宮の跡地や、バブルの頃に建築途中で放置されたビルがあった。
そういやロケーションは大阪市内の中心部なのだが、ちょっと寂れていたな。