海狼伝

作者:白石一郎|文春文庫
戦国時代の海賊を描いた冒険小説。
対馬で海女の手伝いをしていた18歳の笛太郎は若い衆から大将と呼ばれていた。
朝鮮からかつての倭寇の将軍が対馬に戻ってきた時に、母から父の存在を明かされる。
村上水軍の末裔と聞かされたが、倭寇の将軍のもとで海賊活動に働く日々を送っていた。
海賊行為で捕虜は縄で縛り、海に放り投げて、溺死させていた。
ある日、島津の船を襲い、船荷を奪ったが、捕虜になった雷三郎を助ける。
笛太郎と雷三郎は親友となり、行動を共にするようになる。
堺商人の船を襲った対馬の海賊だが、返り討ちに会い、笛太郎と雷三郎は捕虜になる。
二人は村上水軍の商才のある能島小金吾に預けられ、毛利家と織田信長との戦いに駆り出される。
小金吾は船が好きで、戦より貿易で成功したいと考えていた。
織田と毛利の戦いでうまく立ち回った小金吾は、西洋式の帆船を作る。
処女航海は沖縄と明という計画だったが、小金吾は対馬を向かうように命じる。


麹町の本屋で平積みで見かけた文庫本で、タイトルだけは覚えていた。
後日、新宿の紀伊国屋や池袋のジュンク堂で探すが見つからなかった。
結局、麹町のその書店で購入した。
第97回直木賞受賞作。かなり前の作品で、初版は20年以上前だ。
なぜ、こんな昔の作品が麹町の本屋で平積みになっていたのかわからない。
そんなことはどうでもよくなるくらい、面白い作品だった。
笛太郎、雷三郎、小金吾の友情と、波乱の展開に、緊迫した描写。
続編があるようだが、読みたい。
古本屋で探そうかな。


海狼伝 (文春文庫)

海狼伝 (文春文庫)