まぐだら屋のマリア

作者:原田マハ幻冬舎文庫
東北出身の紫紋は、東京・神楽坂の料亭で修業をしていた。
故郷の母親に店に来てもらい、おいしい料理を食べてもらうのが夢だった。
ところが、この料亭で料理の使い回しが発覚。
告発したのは紫紋の後輩で、直後に電車に飛び込み自殺。
紫紋は絶望とともに店を飛び出した。
所持金がなくなり、死ぬつもりで辿り着いた尽果というバス停。
その近くに「まぐだら屋」という食堂があり、最後の晩餐をとる。
ところが、女主人のマリアと出会い、この店で働くことになる。
マリアの雇主は、この村の有力者で、女将と呼ばれる老人だった。
女将は激しくマリアを憎んでいた。
店を盛り立てつつ、女将とマリアの関係を立て直そうとするが、上手くいかない。



登場人物の皆にマイナスのオーラが出ている。
でも、料理を作るシーンが丁寧で、それが物悲しくもあり、希望を持たせる。
薬指のないマリアの壮絶な人生と女将の絡みも悲劇なのだが、面白い作品だった。