北斗

作者:石田衣良集英社
幼少時から両親に激しい暴力を受けて育った端爪北斗。
異常なほどの暴力で、人格をゆがめられてしまう。
高校に進学した頃、暴君の父が精神病院で死亡する。
母は、北斗に父と同じ様な暴力を望む。
保護司に相談した北斗は、綾子という女性に里親になってもらい、ともに暮らし始める。
大学生となった北斗は徐々に人間らしい感情を取り戻していく。
だが、綾子に進行性のがんが判明。
北斗は怪しげな団体のがんに効くという飲料水を法外な値段で購入する。
看病もむなしく、綾子は死亡する。
飲料水がインチキだと知らされた北斗は激情に駆られ、開発者の元に乗り込む。
巡り合わせの不幸なのか、女性従業員を二人殺害してしまう。
インチキ飲料水への糾弾もあったが、北斗の極刑は避けられない状況。
元々、人生に希望がなかった北斗は死刑を受け入れるつもりだった。
虐待子のトラウマが罪の軽減となるのか?



冒頭から描かれる北斗への両親の虐待は、心が痛くなる。
解放され、唯一愛情を注ぐことのできた里親・綾子のがんの苦しみをそばでみる北斗。
綾子の死後、財産をインチキ飲料水に奪われ、復讐に乗り出す北斗。



暗いストーリーだったが、面白かった。




北斗 ある殺人者の回心

北斗 ある殺人者の回心