2015-01-01から1年間の記事一覧

七帝柔道記

作者:増田俊也|角川書店 単行本オビ 「七帝柔道」という寝技中心の柔道に憧れ、二浪の末、北海道大学に入学した。 しかし、柔道部はかつて誇った栄光から遠ざかり、大会でも最下位を続けるどん底の状態だった。 他の一般学生が恋に趣味に大学生活を満喫す…

神の子(上・下)

作者:薬丸岳|光文社 単行本オビ 殺人事件の容疑者として逮捕された少年には、戸籍がなかった。 十八歳くらいだと推定され、「町田博史」と名付けられた少年は、少年院入所時の知能検査でIQ161以上を記録する。 法務教官の内藤は、町田が何を考えているか読…

妻と飛んだ特攻兵

作者:豊田正義|角川文庫 文庫本裏書 「女が乗っているぞ!」その声が上空を旋回する十一機まで届くことはなかった。 白いワンピース姿の女性を乗せた機体を操縦していたのは谷藤徹夫少尉(当時二十二歳)、女性は妻の朝子(当時二十四歳)だった。 一九四五年八…

狭小住宅

作者:新庄耕|集英社文庫 文庫本裏書 学歴も経験も関係ない。 すべての評価はどれだけ家を売ったかだけ。 大学を卒業して松尾が入社したのは不動産会社。 そこは、きついノルマとプレッシャー、過酷な歩合給、挨拶がわりの暴力が日常の世界だった。 物件案…

ギフテッド

作者:山田宗樹|幻冬舎 単行本オビ アメリカ合衆国に住む13才の少年の体内に“未知の臓器”が見つかった。 以後、同様の臓器をもつ子供たちの存在が、世界各地で確認される。 いつしか彼らは、羨望と畏れを込めて「ギフテッド」と呼ばれるようになった。 当初…

私に似た人

作者:貫井徳郎|朝日新聞出版 単行本オビ 小規模なテロが頻発するようになった日本。 ひとつひとつの事件は単なる無差別殺人のようだが、実行犯たちは一様に、自らの命を投げ打って冷たい社会に抵抗する《レジスタンス》と称していた。 彼らはいわゆる貧困…

絶叫

作者:葉真中顕|光文社 国分寺薯の刑事・綾乃は、通報により、マンションで遺体と直面する。 死亡していたのは40歳くらいの鈴木陽子と思われた。 死後、多頭飼いしていた猫に遺体を食い荒らされていたが、事件性は低いと思われた。 だが、綾乃は陽子の過去…

友罪

作者:薬丸岳|集英社 単行本オビ 寮付きの町工場で働きはじめた益田純一は、同日入社の鈴木秀人という男と出会う。 鈴木は無口で暗く同僚に敬遠されるが、同い年の益田とだけは徐々に打ち解けあっていく。 ある日、益田は昔の恋人から、14年前に郷里で起き…

闇に香る嘘

作者:下村敦史|講談社 単行本オビ 村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。 和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。 中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明して…

リバース

作者:相場英雄|双葉社 単行本オビ 警視庁捜査二課から所轄に異動した西澤は、書店で万引きをした老婦人を取調べた。 身なりもよく教養溢れる彼女は、なぜ万引きをしたのか。 そこには、深い事情があった…。 大震災と原発事故。 そして、「福島にはカネが埋…

漏洩 素行調査官

作者:笹本稜平|光文社文庫 文庫本裏書 株のインサイダー取引事件を捜査していたベテラン刑事・戸田が、突然の解任辞令を受け退職に追い込まれた。 疑惑をかけられたまま病に倒れた戸田。 彼を慕う元部下の沢井は、事件の背後に暗躍する警察上層部の黒い人…

作者:犬飼六岐|講談社文庫 文庫本裏書 尾張藩の江戸下屋敷に実在した「御町屋」と呼ばれる宿場町。 この町では、赤の他人が見せかけの夫婦として割り振られた家に住まわされ、仮の商いを営み、藩主が遊覧するときだけ立ち退かなければならなかった。 御町…

ナミヤ雑貨店の奇跡

作者:東野圭吾|角川文庫 文庫本裏書 悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い家。 そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。 廃業しているはずの店内に、突然シャッターの郵便口から悩み相談の手紙が落ちてきた。 時空を超えて過去から投函されたのか…

散り椿

作者:葉室麟|角川文庫 文庫本裏書 かつて一刀流道場の四天王と謳われた勘定方の瓜生新兵衛は、上役の不正を訴え藩を追われた。 18年後、妻・篠と死に別れて帰藩した新兵衛が目の当たりにしたのは、藩主代替わりに伴う側用人と家老の対立と藩内に隠された秘…

傷だらけの拳 道場Ⅱ

作者:永瀬隼介|角川文庫 文庫本裏書 かつて実戦空手の最高峰「無双塾」で鍛練に励んだ藤堂忠之。 先輩から預かった貧乏道場の再建を目指すものの、お人好しな性格も相まって、いつもトラブルの矢面に立たされることに。 暴力団に追われる空手家、武力行使…

あなたの本

作者:誉田哲也|中公文庫 文庫本裏書 父の書斎で見つけた奇妙な本。 『あなたの本』と題されたそれを開くと、自分の誕生から現在までが一つ違わず記されていた。 このまま読み進めれば、未来までもわかってしまうのか。 その先をめくるか否か、悩みぬいた男…

北天蒼星

作者:伊東潤|角川文庫 文庫本裏書 関東の覇者・北条氏康の七男に生まれ、幼少期を箱根権現で過ごした三郎は、越相同盟の証として上杉謙信の養子となる。 謙信から初名「景虎」を受け継ぎ、越後、相模・甲州の平和という理想を抱くが、覇権を争う三国間での…

ワン・モア

作者:桜木紫乃|角川文庫 文庫本裏書 安楽死事件を起こして離島にとばされてきた女医の美和と、オリンピック予選の大舞台から転落した元競泳選手の昴。 月明かりの晩、よるべなさだけを持ち寄って躰を重ねる男と女は、まるで夜の海に漂うくらげー。 同じ頃…

星がひとつほしいとの祈り

作者:原田マハ|実業之日本社文庫 文庫本裏書 売れっ子コピーライターの文香は、出張後に寄った道後温泉の宿でマッサージ師の老女と出会う。 盲目のその人は上品な言葉遣いで、戦時中の令嬢だった自らの悲恋、献身的な女中との交流を語り始め…(「星がひとつ…

ロスト・ケア

作者:葉真中顕|光文社文庫 冒頭、戦後犯罪史に残る大量殺人犯への死刑判決が描かれる。 登場人物たちは、それぞれの感想を持って聞く。 検事の大友は、高齢となった父を高級老人ホームに入居させる。 その際に運営会社「フォレスト」営業部長の佐久間と再…

ハードラック

作者:薬丸岳|講談社文庫 二十五歳にもなって日雇い仕事すら失い、さらに詐欺に会いなけなしの金を失った仁。 闇の世界の住人の森下に出会い、振り込め詐欺の出し子のような経験をする。 仁は現状から脱出するため、闇の掲示板で「大きなことをしようと」仲…

1970年の火刑

作者:海野謙四郎|宝島社文庫 文庫本裏書 「私、女の子を産んだの、華って名づけた」。 1970年の早春、仲間たちにそう告げた女子大生は、その直後、夜のゲレンデで炎に包まれて死んだ。 20年後、それぞれの人生を歩む仲間たちの前に、美しく成長した華が現…

風のマジム

作者:原田マハ|講談社文庫 文庫本裏書 伊波まじむは、通信会社琉球アイコムの派遣社員として働く28歳。 自分が何をすべきか判らず漠然と日々を送っていた。 彼女の運命を変えたのは社内ベンチャー募集の告知。 まじむは郷土沖縄のさとうきびでラム酒を造る…

ハーシュ 酷

作者:前川裕|新潮社 帯 東京吉祥寺に住む若夫婦が営みの最中に手斧で惨殺された。 犯人は逮捕され服役したが、18年後、今度は荻窪で新婚夫婦手斧殺人が発生。 血まみれの若妻は、高級ブライダルサロンのパンフレットを犬のように咥えていた。 ストーカーの…

狗賓童子の島

作者:飯島和一|小学館 大塩平八郎の乱に加担した豪農の息子の常太郎は、15歳になり、隠岐の島後に送られる。 常太郎の父、履三郎は義民として、島後でも尊敬の対象となっていた。 常太郎は大切に扱われ、島後で医師としての教育を受ける。 松江藩に重税を…

風の如く 吉田松陰編

作者:富樫倫太郎|講談社 父親の禄を減らされ、農業を手伝う武士の子の平九郎は白井小助という浪人に出会う。 平九郎の学問の情熱を知った小助は、兵学者で国禁を破った吉田寅次郎の元に連れていく。 そこには後の、久坂玄瑞や高杉晋作、伊藤博文、品川弥次…

Sの継承

作者:堂場舜一|中央公論社 1963年。東京オリンピック前に日本を憂う集団によるクーデターが企てられていた。 首謀者は大手企業の経営者で、大学生や政治家を手なずけ、毒ガスによる狼煙を上げようとした。 だが、実行寸前に首謀者が決行を中止し、仲間割れ…

でーれーガールズ

作者:原田マハ|祥伝社文庫 文庫本裏書 1980年、岡山。 佐々岡鮎子は東京から引っ越してきたばかり。 無理に「でーれー(すごい)」と方言を連発して同じクラスの武美に馬鹿にされていた。 ところが、恋人との恋愛を自ら描いた漫画を偶然、武美に読まれたこ…

64(ロクヨン)

作者:横山秀夫|文藝春秋 D県警の広報担当の三上は、記者クラブとの軋轢に悩まされていた。 さらに三上の娘は、家出をして行方が分からず、妻は気を病んでいた。 D県警は、昭和64年に起きた誘拐殺人事件は未解決のまま。 事件当時、三上は捜査を担当して…

逆流-越境捜査

作者:笹本稜平|双葉社 越境捜査シリーズの第4弾。 ハードボイルドな作家のコメディタッチの異色作だが、結構気に入っている。 警視庁捜査一課特命捜査二係の鷺沼は、冒頭で暴漢に刺される。 彼を救ったのは腐れ縁のコンビで、神奈川県警の刑事の宮野だった…