私に似た人

作者:貫井徳郎朝日新聞出版
単行本オビ
小規模なテロが頻発するようになった日本。
ひとつひとつの事件は単なる無差別殺人のようだが、実行犯たちは一様に、自らの命を投げ打って冷たい社会に抵抗する《レジスタンス》と称していた。
彼らはいわゆる貧困層に属しており、職場や地域に居場所を見つけられないという共通点が見出せるものの、実生活における接点はなく、特定の組織が関与している形跡もなかった。
いつしか人々は、犯行の方法が稚拙で計画性もなく、その規模も小さいことから、一連の事件を《小テロ》と呼び始める。
テロに走る者、テロリストを追う者、実行犯を見下す者、テロリストを憎悪する者・・・・
彼らの心象と日常のドラマを精巧に描いた、前人未到のエンターテインメント。


別れた彼女が無差別テロの被害者となり、別れる原因となった男を探す保育士。
吃音で野良猫をかわいがる派遣の工員。
ヘイトさんと呼ばれる気難しい男性と親しくなったOL。
息子の受験を気にかけている地方の専業主婦。
やがて、「トベ」と名乗る人物が、ネットを通じて社会的弱者に無差別テロをそそのかしていることが判明する。
10人の人物の視点で描かれるサスペンスで、面白かった。


私に似た人

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