絶叫

作者:葉真中顕|光文社
国分寺薯の刑事・綾乃は、通報により、マンションで遺体と直面する。
死亡していたのは40歳くらいの鈴木陽子と思われた。
死後、多頭飼いしていた猫に遺体を食い荒らされていたが、事件性は低いと思われた。
だが、綾乃は陽子の過去を調べていくと、4度の結婚をしており、いずれも1年以内に夫と死別していた。


陽子は地方都市に生まれ、ごく平凡に育った。
母は弟に愛情を注ぎ、疎外感を覚えていたが、中学生になった弟が交通事故死。
さらに父親が借金を抱えて、失踪してしまう。
母親は実家に帰り、家族はバラバラになる。
一人暮らしをしていた陽子は33歳の時に上京し、初恋の人と再開し、結婚する。
結婚生活は長続きせず、離婚した陽子はテレアポで生計をしのいでいた。
将来の見えない生活を断ち切るため、生命保険の営業を始める。
なかなか成績の上がらない陽子は、故郷の同級生たちに保険を売り、ノルマを達成する。
知り合いも尽き、枕営業に手を出したのがばれ、解雇される。
風俗嬢となった陽子は、NPO法人代表の神代という男と知り合う。
彼はホームレス男性の支援を行っているとのことだが、後ろ暗い稼業もちらほらしていた。
やがて彼らは保険金殺人に手を染めていく。


平凡な女性が転落していく様を描いたサスペンスで、非常に面白かった。
ブラックな内容だが、突き抜けている。



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