闇に香る嘘

作者:下村敦史|講談社
単行本オビ
村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。
和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。
中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。

27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。
全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。



第60回江戸川乱歩賞受賞作。
全盲の主人公が日常生活で苦労されているさまが、リアルに描かれている。
中国残留孤児の問題が、トリックになっているのは驚かされた。
ただ、点字の俳句の暗号は退屈だし、主人公の行動があまり共感できなかった。
賞を取るだけの実力はあると思うが。


闇に香る嘘

闇に香る嘘