妻と飛んだ特攻兵

作者:豊田正義|角川文庫
文庫本裏書
「女が乗っているぞ!」その声が上空を旋回する十一機まで届くことはなかった。
白いワンピース姿の女性を乗せた機体を操縦していたのは谷藤徹夫少尉(当時二十二歳)、女性は妻の朝子(当時二十四歳)だった。
一九四五年八月十九日。
満州で二十代の青年将校たちは、ある者は許嫁の自決を見届け、ある者は恋人を連れ、そして谷藤徹夫は妻を乗せ、空に消えていった。
「妻と飛んだ特攻兵」、その衝撃の事実を追った歴史ドキュメント!!


衝撃的な内容だけど、夫婦の記述が少なく、感動は少な目。
それより、満州国建国から、日中戦争、太平洋戦争末期の特攻までの歴史の流れがわかりやすい。
特に国内とかい離した関東軍の暴走が、後に禍根を残したことがわかる。
表紙の頼りなさそうな夫とごく普通の女性にドラマ性はなかった。
むしろ、関東軍に見捨てられた開拓民の悲惨な逃避行の方がぐっとくる。
タイトルとは、全く違う昭和史の記述がかなり面白かった。