神の子(上・下)

作者:薬丸岳|光文社
単行本オビ
殺人事件の容疑者として逮捕された少年には、戸籍がなかった。
十八歳くらいだと推定され、「町田博史」と名付けられた少年は、少年院入所時の知能検査でIQ161以上を記録する。
法務教官の内藤は、町田が何を考えているか読めず、彼が入所したことによって院内に起こった不協和音に頭を悩ませていた。やがて、
何人かの少年を巻きこんだ脱走事件の発生によって、事態は意外な展開を見せる…。


身元引受人となった前原悦子の製作所を手伝いながら、大学に通いはじめた町田は、同じ大学の学生たちの会社「STN」設立を手伝うことになる。
周囲は賑やかになり、町田の感情も穏やかになりはじめているように見えた。
しかし、すべての始まりだった殺人事件と、その関係者たちは、町田を放っておいてはくれなかった…。



犯罪に巻き込まれる人を描いた作品を描いてきた作者だが、本作は青春小説の雰囲気もある。
一気読みできる展開で、最近の日本の作家の中では勢いがある。
でも、何かが足りない。非常な展開にも屈しないヒューマニズムを甘く思うからか?
ストーリーは抜群に面白い。


神の子 上

神の子 上