Sの継承

作者:堂場舜一|中央公論社
1963年。東京オリンピック前に日本を憂う集団によるクーデターが企てられていた。
首謀者は大手企業の経営者で、大学生や政治家を手なずけ、毒ガスによる狼煙を上げようとした。
だが、実行寸前に首謀者が決行を中止し、仲間割れを起こしてしまう。
首謀者は、仲間を闇に葬り、クーデターの計画は消えた。
それから50年が経ち、2013年、国会議事堂に毒ガスを持ったテロリストが侵入。
国会議員を人質にとり、封鎖をする。


単行本で500ページを超える分量。
前半の60年代の安保闘争を軸に置いたクーデター計画は読みごたえがあった。
ただ、現在の国会議事堂の立てこもりは動機が薄く、もったいない展開。
1963年のクーデター計画の展開が熱かったのに、2013年の計画はイマイチ。
大作なのだが、前半の熱さに比べ、後半の展開に落差が大きく、あまり面白くなかった。
前半だけで話を締めくくれば、面白かったのだけど。
ヒマつぶしにはなるが。


Sの継承

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