ポリスマン

作者:永瀬隼介|幻冬舎文庫
亜細亜プロレスの練習生の浮谷は、リングにも上がれず荒れた生活を送っていた。
そんな時、ある試合で、地味な先輩レスラーの深見の恐るべき実力を垣間見る。
深見は亜細亜プロレスの用心棒的存在で、「ポリスマン」と呼ばれていた。
負けることの許されない存在の深見に憧れた浮谷は弟子入りする。
深見は一匹狼で、道場練習には顔を出さず、酒も飲まずに、ストイックに練習をする。
深見に突き放されながら、浮谷は練習を真似することで、実力がついてきていることを感じる。
だが、深見には旧ソ連崩壊時期に行方不明になっていた1週間があった。
防衛庁にいる同級生、公安警察が深見に絡み、ロシアン・マフィアの姿もちらほら。
一方、人気が先細りになってきた亜細亜プロレスは、総合格闘技に参戦を決意。
看板レスラーが次々に敗れ、深見が最後の砦として、全米最強レスラーと対戦する。
プロレスの試合の描写は臨場感があり、クライマックスは非常に盛り上がる。
加えて、この小説はアフガン戦争やソ連の崩壊で傷ついたアマレスの王者の話も面白い。
プロレスが題材だが、国際スパイと暗黒犯罪もミックスされ、一級品のエンターテインメントになっている。

ポリスマン (幻冬舎文庫)

ポリスマン (幻冬舎文庫)