絶望ノート

作者:歌野晶午幻冬舎文庫
中学生の太刀川照音(タチカワショーン)は学校でイジメを受けていた。
母親のヨーコは世間体を気にしたパートで、父親の豊彦はジョンレノンかぶれの無職。
小学校のころから、名前のせいでタチションというあだ名をつけられ、いじられていた。
だが、中学に入ってから、是永たちのグループから本格的にいじめられる。
プロレス技をかけられ、小遣いを奪われ、好きな女の子を暴露され、万引きの強要。
照音は頼りにならない親に相談出来ず、「絶望」と書いたノートにイジメの内容を記録する。
ある日、自分をいじめている少年が石に気躓き、怪我を追ってしまう。
ショーンはその石を自宅に持ち帰り、神とあがめ、是永たちのグループの抹殺を願う。
ヨーコは、ショーンの絶望日記を目にし、いじめられている息子を救うため、探偵を訪ねる。
その後、ショーンが望んだとおり、是永は校舎から転落死する。


かなりどす黒い結末が待っているサスペンスだった。
ビートルズとジョンレノンの曲名に合わせた章建てもいい。
この作家の代表作は「葉桜の季節に君を想うということ」だが、これも悪くない。
むしろ、「葉桜・・・」の主人公がアレだったということのどんでん返しの気マズさより、こっちの方がマシ。
驚かせるという点では「葉桜」は新鮮だったが、ストーリーはこちらの方が面白い。
犯人の設定と、日記のカラクリという2重の謎が鮮やかだ。


絶望ノート (幻冬舎文庫)

絶望ノート (幻冬舎文庫)