小夜しぐれ

作者:高田郁|ハルキ文庫
みをつくし料理帖」の5作目となる連作小説。
1冊に4話が収録されているスタイルはずっと踏襲されている。
江戸時代後期、大坂からやってきた料理人の女性の澪と、取り巻く人物を描いた人情モノ。
「迷い蟹」は澪の雇い主の種市が、娘の仇を見つける話で、料理の主題は浅蜊の酒蒸し。
「夢宵桜」は澪が吉原の遊郭で花見用の料理を作る話で、菜の花ご飯を取り上げている。
「小夜しぐれ」は澪の友人の美緒が不本意な結婚を迫られる話で、料理はニシンの昆布巻き。
「嘉祥」は澪のもとに現れる謎の侍の小松原の正体が明かされる話で、今までと毛色が違う。
5作目は澪の周りの人たちに動きが出始めたが、話の面白さは安定している。
また、料理に対する描写も美味しさが感じられ、自分ももっと美味しい料理を作ろうという気分になる。

4作目「今朝の春」
3作目「想い雲」
2作目「花散らしの雨」
1作目「八朔の雪」


小夜しぐれ (みをつくし料理帖)

小夜しぐれ (みをつくし料理帖)