水曜の朝、午前三時

作者:蓮見圭一|新潮文庫
脳腫瘍のため、45歳でなくなった直美は娘に4巻のテープを残していた。
病床で、遺書代わりに残したテープの内容が物語の主題となっている。
早くから許婚を決められた直美は、反発するかのように大阪に行くことにした。
大阪では万博が開催されており、パビリオンのコンパニオンとして働く直美。
充実した日々を送りながら、やがて京都大学出身の臼井礼と恋仲になる。
酒を飲み、海でいちゃいちゃして、仕事がおろそかになることがあっても日々充実していた。
万博の閉幕に近づくに連れ、将来を意識した直美は東京の両親に臼井を紹介する。
だが、コンパニオン仲間に臼井が朝鮮人であることを知らされ、暗転。
全ては終わり、直美と友人になった臼井の妹は自殺してしまう。
抜け殻のようになり、東京に戻った直美は新聞記者と結婚する。
今は韓流ブームで親しみがあるのかどうかは知らんが、
あの時代に朝鮮人と結婚するのは普通の日本人なら、まず無理だっただろうな。
罪悪感は消えることはなく、子供が成長した後は、妹の命日に京都で臼井と会うことになる。
病床につき、現在の寂しさと、過去の煌びやかな追憶のコントラストが印象的。
「人生は宝探し」という言葉は良い。あちこちで探す。これと思った場所を深く掘る。
色んな選択肢を気づかせてくれる。。
オビには「涙が止まらない」とか書かれていたが、それは大げさだな。
でも、面白く、一気に読めた。

水曜の朝、午前三時 (新潮文庫)

水曜の朝、午前三時 (新潮文庫)