闇の獄(上・下)

作者:富樫倫太郎|中公文庫
江戸時代、大坂で強盗の手引きをしていた新之助
強盗の親方の女性を寝取ったことがばれ、押し入った商家で殺されそうになる。
刺され、大火傷を負った新之助は、女たらしの美貌を失い、絶望する。
身体が癒えれば、打ち首獄門は免れない。
そこに金貸しを営む山村検校が、救いの手を差し伸べる。
暗殺者の座頭の市として生きることを選び、同じ座頭の芳一から手ほどきを受ける。
苦しい修行を経て、暗殺者となるが、座頭として生きるため、目をつぶされてしまう。
山村検校の手先として、商売敵を殺し、虚しさに苛まれる新之助
同じ長屋に住む、健吾とお千代という子供の成長に希望を見出していた。
そんなとき、新之助は自分を陥れた強盗の親方を見つけ、復讐に乗り出す。


座頭市のリメイクだが、面白い暗黒小説だった。
前半の新之助の苦悩と絶望、更に目を潰されるシーンは恐怖感十分だ。
暗殺者となってから、女たらしの性分が人に対する優しさに昇華していく成長もいい。



闇の獄(上) (中公文庫)

闇の獄(上) (中公文庫)