後妻業

作者:黒川博行文藝春秋
68歳の小夜子は、結婚相談所長の柏木とタッグを組み、独居老人の遺産をかすめ取っていた。
柏木が財産を持っていそうな老人を探し、小夜子がターゲットに接近する。
内縁の妻となり、老人が死ぬ前に、公正証書の遺言状を都合のいいように作成する。
老人の遺産は子供たちにほとんど渡らず、小夜子と柏木が山分けしていた。
90歳を過ぎた中瀬老人が、病院で亡くなり、娘の尚子と朋美の前に小夜子が現れる。
内縁の妻である小夜子に、ほとんどの財産がワタル内容の遺言状を見せられた二人は弁護士に相談する。
小夜子の手口を聞いた弁護士の守屋は、典型的な「後妻業」の手口と判断する。
依頼を引き受けた守屋は、探偵事務所に小夜子の過去の調査を依頼する。
元マル暴の刑事だった探偵の本多は、小夜子の後妻業を調べ上げ、殺人を犯していると確信する。
本多は、小夜子のパートナーの柏木を強請り、金を巻き上げようとするが。


京都連続不審死事件で逮捕された婆あの出現を暗示するかのような作品。
高齢化社会を背景にした犯罪の手口はリアリティにあふれている。
強欲な小夜子と柏木のやり取りと、正義感にあふれつつ金も欲しいという本多の矛盾した存在。
やがて犯罪は明らかになるが、結末は意外な展開。
これは面白かった。独居老人が家族にいる人はぜひ読んでおくべき作品だ。


後妻業

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