村上海賊の娘(上・下)

作者:和田竜|新潮社
織田信長本願寺の戦いに、毛利水軍が割り込んでくる話。
主人公はタイトル通り、村上元吉の娘の景。
安芸の一向宗信徒を、本願寺に送り届け、泉州地方の侍たちと交流を持つ。
泉州侍は、織田家に味方し、本願寺を攻める。
泉州侍はハチャメチャに勇敢で、死を恐れない。
迎え撃つのは鉄砲集団を束ねる雑賀孫一
景は傍観者で、心情的には泉州を応援していた。
だが、本願寺の信徒を脅迫するような用兵に嫌悪感を持つ。
泉州侍は、そんな本願寺の信徒たちを殺戮していく。
景は、戦に嫌気がさし、大阪を離れ、因島に戻る。
おとなしくしているつもりだったが、村上水軍の出陣に紛れ込む。
泉州水軍と、村上水軍が大阪湾で激突する。


本屋大賞受賞作で、面白い作品だった。
敵味方で、嫌な人物が出てくるのが普通だが、この作品は嫌な人物がほとんど出てこない。
泉州の海賊の真鍋七五三兵衛、沼間義清、松浦安太夫、寺田又右衛門のキャラが強烈だ。
村上水軍の武将たちもそれぞれが生き生きと描かれる。
下巻の第5章は、200ページ以上にわたり、泉州侍と村上水軍の海戦が描かれる。
映画というより、アニメを見ているようなデフォルメの効いた臨場感。
これを文章で表現するのだから、読み終わるとちょっと疲れた。

村上海賊の娘 上巻

村上海賊の娘 上巻