12月の向日葵

作者:永瀬隼介|新潮社
東京西部の高校の柔道部で同期だった香坂と弓削。
中退した香坂は極道に、弓削は警察に進む。
平成元年、二人は駆け出しで、喘いでいた。
香坂はバブル紳士を殺害し、弓削は拳銃の摘発に四苦八苦していた。
香坂は弓削に手柄を与えるために、危険な内部情報を漏らす。
弓削は香坂のおかげで、出世をしていく。
香坂は対立するヤクザと対決し、傷を負い、刑務所へ
出所したころには、暴対法が施行され、ヤクザとしては生きにくい時代になっていた。
それでも一方的に友情を与える香坂。
発端は高校時代の三角関係にあり、弓削は妻と離婚するまで気付かない。
香坂は所属する組に分裂の兆しに気付き、ナンバー2の幹部と対決することになる。


バブル後の平成時代を、ヤクザと警察のそれぞれの暗部を描いている。
弓削の出世と、妻の不倫、香坂の転落と、3者のストーリーと時代が重なり、重厚で面白い。


12月の向日葵

12月の向日葵