レイジ

作者:誉田哲也|文春文庫
80年代に中学生だったワタルは、音楽に目覚め、バンドを結成する。
文化祭で成功したが、ボーカルのレイジは脱退をしてしまう。


ワタルはバンドという仲間で盛り上がりたかった。
高校、大学とベースを続け、レコードデビューに手の届くところまで行き着く。


レイジは自分の書く曲で、みんなに認められたかった。
レイジはワタルのバンドを脱退してから、自分で曲を書くようになる。
だが、バンドを組んでも、なかなかうまくいかない。


大学生活を経て、ワタルは社会人に、レイジはフリーターに。
音楽の夢をあきらめなかったレイジは、地道にライブ活動を続ける。
だが、トラブルに巻き込まれてしまい、行方不明になる。


30歳を過ぎたワタルは、レイジの書いた曲をドキュメンタリー番組の音楽に使用する。
その曲に対して、大きなリアクションがあり、再び、ワタルとレイジは接近する。


あとがきで、作者自身が音楽をやっていたとのことで、妙にリアルな作品だった。
椎名林檎の出現で衝撃を受け、音楽をあきらめ、作家になったということらしい。
レイジが書く詩は、中2病っぽいが、作者が実際にバンドで使っていたのではないか。

挫折から再生に向かう終盤の展開は、作者の願いもこめられているような気がした。
レイジが面倒くさい性格だが、他の登場人物にもキャラが立ち、文句なしに面白かった。


レイジ (文春文庫)

レイジ (文春文庫)