平成猿蟹合戦図

作者:吉田修一朝日文庫
長崎五島列島出身の美月は、赤ん坊を連れ、新宿歌舞伎町にやってくる。
夫の朋生が、ホストとして働いでいるので会いに来た。
ところが、朋生はホストを辞めていて、行方が分からない。
途方に暮れているところ、韓国パブのバーテンの浜本純平と出会う。
純平は、あるひき逃げ事件を目撃していたのだが、捕まったのは別人だった。
ひき逃げの犯人が著名な演奏家であったことから、朋生と組んで、恐喝を試みる。
演奏家は親族ともども、ひき殺した男に恨みがあり、恐喝は失敗。
ぬるい日々が続いていたが、ひょんなことから美月はマスコミに取り上げられ、芸能人のようになる。
純平も演奏家のマネジャーと意気投合し、故郷の秋田から国政選挙に立候補することに。


この作者の長編は読みごたえがあるし、ハズレはほとんどない。
この作品も、歌舞伎町の住人の描写がうまいし、ストーリーも飽きさせない。
ただ、猿蟹合戦になぞらえ最後の語りで〆たのは、ちょっとこじつけのような気がした。
面白かった。


平成猿蟹合戦図 (朝日文庫)

平成猿蟹合戦図 (朝日文庫)