エンドロール

作者:鏑木蓮|ハヤカワ文庫
文庫本裏書
映画監督になる夢破れ、故郷を飛び出した青年・門川は、アパート管理のバイトをしていた。
ある日、住人の独居老人・帯屋が亡くなっているのを見つけ、遺品の8ミリフィルムを発見する。
映っていたのは重いリヤカーを引きながらも、笑顔をたやさない行商の女性だった。
門川は、映像を撮った帯屋に惹かれ彼の人生を辿り、孤独にみえた老人の波乱の人生を知る。
偶然の縁がもたらした温かな奇跡。(『しらない町』改題文庫化)


なぜ、帯屋は8ミリとノートを残したのか。
わずかな手がかりを頼りに、門川は、映像ドキュメンタリーを作ろうとする。
高齢化した戦友たちは、多くを語らず、帯屋の8ミリを処分するように迫る。
戦時中に起きた隠したい出来事が明らかになることを恐れていた。
それでも、フィルムに映っていた東北地方の痕跡を手掛かりに、現地を調査する。
フィルムに映っていた行商の女性と帯屋の過去のつながりが徐々に明らかになっていく。


戦争体験、限界集落孤独死と明るいテーマではないが、人のつながりを確認させてくれる力強い作品。


エンドロール (ハヤカワ文庫JA)

エンドロール (ハヤカワ文庫JA)