モンスターU子の嘘

作者:越智月子|小学館文庫
文庫本裏書
昭和63年。
ゲーム機賭博で数億円の荒稼ぎをしていた赤坂の喫茶店経営・石山詩子が、常習賭博の現行犯で逮捕された。
フリーライターの蒲田は拘置所で詩子と面会する。
旧友で亡くなった刑事の寺本から「あの人のことを頼む」と懇願されていた。
家庭を壊し、刑事という立場も顧みずして死の直前まで意識野にのどらせ続けた女は、一方、寺本のことなどまったく意に介す様子を見せなかった。
その後、巻き込まれるようにして蒲田は政財界の中枢をになう人物たちと会う羽目になり、詩子との不思議な関係を目の当たりにする。
そして平成元年を迎え、物語は動き出す。


戦前生まれの詩子は、昭和が終わった時点で50歳に届こうとする年齢だった。
詩子が収監された刑務所には、惚れた男性のために、横領をした元銀行員の幸恵がいた。
この物語は、刑務所の中で幸恵が見た詩子と、ジャーナリストの蒲田が真相を追う詩子の調査の両面で進む。

戦後から昭和の終わりまでの40年近くを切り取った内容で、そこそこ面白かった。
ただ、詩子の凄味はちょっと伝わらなかったな。

モンスターU子の嘘

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