川あかり

作者:葉室麟双葉文庫
上野藩一番の臆病者といわれた伊東七十郎は増水した川を眺めていた。
彼は藩の内紛で、政敵を暗殺するよう言い含められていた。
成功すれば、片思いの美祢という重臣の娘をもらえるという話になっていた。
七十郎は、川宿で、怪しげな連中と一緒になる。どうやら盗賊のようだ。
距離を取ろうとするが、連中が馴れ馴れしく絡んでくる。


途方に暮れていた七十郎だが、暗殺決行の日は迫ってくる。
盗賊と思われた連中は、藩の不正を裏で動かす商人に恨みを持っていた。
臆病と思われた七十郎には隠し技を持っていて、刺客を返り討ちにする。
七十郎の意外な強さに気付いた盗賊団は、手助けしようと申し出る。


弱さを隠さない七十郎と、義憤にかられる盗賊団の交流が共感できる。
これは面白い作品だった。


川あかり (双葉文庫)

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