明日のマーチ

作者:石田衣良新潮文庫
山形県鶴岡市で、派遣切りにあった4人の青年。
次の予定もない夏なので、歩いて東京に戻ることにする。
ごく普通の青年の春原陽介、ITリテラシーの高い黒瀬伸也。
中国残留孤児の3世でロン毛の林、ガタイがよく頼りがいのありそうな三津野。
4人は野宿をしつつ、新潟を歩き、長野から東京を目指す。
適当にゴールを設定したが、4人の道中は意外に盛り上がる。
伸也が発信するツイッターに、週刊誌の取材のオファーがあり、4人は注目の的となる。
若年の雇用に関する不満の代弁者として祭り上げられ、困惑する。
さらにマスコミから、三津野の過去が暴かれ、4人は窮地に陥る。
徐々に盛り上がり、祭りになってしまう展開は面白い。
ただ、三津野の罪はドン引きで、それを仲間で乗り切ろうとするのは、無理があったな。
もう少し軽めの罪なら、ああよかったねとなったのだが、命乞いをする相手を殺すのはダメだ。
許される罪にも限度はある。面白い作品だけど、設定を間違ったな。


明日のマーチ (新潮文庫)

明日のマーチ (新潮文庫)