蠅の帝国 軍医たちの黙示録

作者箒木蓬生|新潮文庫
太平洋戦争で任務に就いた軍医たちの経験をつづった短編集。
作者が取材を重ね、15編の話はいずれも一人称で語られる。
九州の航空隊への爆撃。原爆投下直後の広島。
東京大空襲の翌日。中国地方での徴兵検査任務。
敗戦を経て大陸から脱出する話や、南の島で現地人を徴用し、戦犯になる話。
話として面白いものも、つまらないものもあった。
おそらく作者は記録として残すことに重点を置いたのだろうと思う。
医師が参加した戦争という視点で、淡々と描かれる。
刺激は少ないが、医薬が不足する中で、苦闘する医者の思いは伝わってくる。


蠅の帝国: 軍医たちの黙示録 (新潮文庫)

蠅の帝国: 軍医たちの黙示録 (新潮文庫)