下町ロケット

作者:池井戸潤小学館文庫
今、売れている作家の直木賞受賞作。
ロケット技術者の佃航平は、打ち上げ失敗の挫折を味わい、家業を継いだ。
7年後、佃製作所は業績を伸ばしていたが、商売敵のメーカーから特許侵害で訴えられる。
相手は言いがかりのような訴訟で、ライバルを葬ってきた悪評高い会社。
取引先を失い、銀行からも融資を断られ、窮地に陥った航平。
離婚した妻に紹介してもらった企業訴訟に強い弁護士とタッグを組み、裁判に臨む。
裁判で勝利した佃製作所だったが、次の試練が襲い掛かる。
ロケットの夢を捨てきれなかった航平は、水素エンジンのバルブシステムで特許を申請していた。
国産ロケットを開発する帝国重工は、航平の特許を奪い取ろうと、様々な手を繰り出してくる。
特許を手放せば、会社は潤うが、航平は夢を捨てきれない。
佃製作所の中で、不協和音が広がり、会社は迷走し始める。


従業員たちにそれぞれの主張があり、間違ってはいない。
一致団結はないから、リアリティもある。
スリルあふれるストーリー展開に加え、人物の描き方がこれまでの作品に比べ丁寧だ。
これはハズレのない作者の中でも傑作だと思う。

下町ロケット (小学館文庫)

下町ロケット (小学館文庫)