蛍の森

作者:石井光太|新潮社
2012年四国・香川県徳島県の県境にある雲岡村で2人の老人が失踪した。
直後に都議を務めたこともある乙彦が、自首してくる。
乙彦は8年前にも老人の一人を殺害しようとして、逮捕されていた。
乙彦はこの村の出身で、私生児として1940年に生まれた。
母は村の有力者の妾となったが、自殺し、乙彦は村を追われる。
乙彦はヘンド(らい病の巡礼者)が住むカッタイ寺に拾われ、生活を始める。
当時、らい病に対する差別はひどく、迫害の対象となっていた。
少し年上の虎之助や小春とらい病患者の世話をして過ごすが、村人が殺害される。
虎之助は村人にリンチにあい、両目を潰されてしまう。
カッタイ寺は村人に取り囲まれ、住職は青酸カリを飲むことを強要される。
乙彦も袋叩きにされ、施設に預けられる。
60年後、乙彦は村人へ復讐を始めたのか?

らい病患者に対する偏見と差別は悲惨で、読み応えのある社会派ミステリだった。


蛍の森

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