灰色の虹

作者:貫井徳郎新潮文庫
身に覚えのない上司殺害の疑いを受け、逮捕された雅史。
刑事の執拗な取り調べで、やっていないが自白してしまう。
裁判で無罪になると考えていたが、国選弁護士にやる気は見られない。
検事は警察の調書をもとに、舌鋒鋭く雅史を追い詰めていく。
裁判官は雅史に有罪を言い渡す。
恋人も家族も仕事も失い、雅史は絶望する。
出所後、雅史は復讐を開始する。
刑事、検事、弁護士、裁判官と順番に殺害していく。
警察は検事が殺された時点で、雅史の犯罪に気付く。
だが、雅史の姿はつかめなかった。
最後に狙われるのは、目撃の偽証をした会社員だった。


強引な捜査と恫喝で自白を引き出す刑事が殺されるところから始まる。
次に雅史が逮捕されるまでの過去が描かれる。
検事の殺害、雅史の裁判と、現在と過去が交互に描かれる。
ストーリー展開は上手く、雅史の絶望には共感できる。
最後にどんでん返しもあり、ミステリとしてもエンターテインメントとしても絶品。


灰色の虹 (新潮文庫)

灰色の虹 (新潮文庫)