踏んでもいい女

作者:斉木香津|小学館文庫
終戦間際の横浜で、銭湯を営む寅吉は、そろそろ家族を疎開させようと考えていた。
19歳の孫娘の真砂代は、見合い相手に一方的に振られ、ショックを受けていた。
相手は、忘れられない女性がいるという。
東京で空襲が始まり、そろそろ、横浜も危ないのではとなり、家族は疎開
だが、寅吉と真砂代は、銭湯を開けるため、残ることにした。
そんな時、真砂代は、見合い相手の忘れられない女性の貴子に出会う。
貴子は、政府高官と結婚しており、物資の統制下にも関わらず、贅沢な生活を送っていた。
貴子に依頼され、真砂代は屋敷を掃除をするために訪れることになる。
貴子は画家を目指していて、日本の敗戦を予見していた。
自分を袖にしたお見合い相手が惚れた女を見届けようと、空襲が始まっても維持で訪れる。
やがて、横浜にも本格的な空襲が始まり、真砂代の銭湯も、貴子の屋敷も焼け落ちてしまう。


いじけた真砂代と鼻持ちならない貴子の交流が主題。
戦争末期の物資の欠乏と、貴子の優雅な生活。
ストーリーに意外な点はなかったが、最後まで読ませる。
これは作者の腕だな。面白かった。


踏んでもいい女 (小学館文庫)

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