雑司ヶ谷R.I.P

作者:樋口毅宏新潮文庫
さらば雑司ヶ谷」の続編。
日本に大きな影響を与える宗教団体の教祖の大河内泰が102歳で死亡した。
主人公の孫の太郎は、教団の2代目としてお披露目に臨むことになる。
だが、泰の死体を何者かに盗まれ、太郎は古参幹部を粛正する。
その後、太郎は団体を大きくするため、格闘トーナメントを実施する。
参加者の中に、人間最終兵器の石田吉蔵の名前があり、太郎は戦慄する。
かつて、太郎の罪をかぶり、刑務所に収監された男。
肉弾戦では敵なしの男も出所後は老人となっている。
誰かが倒すだろうとたかをくくっていたが、吉蔵は並みいる強豪を倒し、優勝。
吉蔵は、太郎に殺害すると告げ、姿をくらます。


太郎の現在と泰の過去が交互に描かれる。
教祖になり、思い上がって傍若無人にふるまう太郎の現在の描写はギャグとしか思えない。
関東大震災大東亜戦争を駆け抜けた泰の生涯は、大河小説仕立てで面白い。


サブカルのうんちくを入れるところは、この作家の特徴なのだろう。
太郎と吉蔵のバイオレンスシーンも、泰の生涯も映画のシーンを文章にしたような感じ。


リズムがあり、悪くないのだけど、太郎のホモシーンはいただけない。


雑司ヶ谷R.I.P. (新潮文庫)

雑司ヶ谷R.I.P. (新潮文庫)