真夏の方程式

作者:東野圭吾|文春文庫
探偵ガリレオシリーズ。
夏休みを瑠璃ヶ浦で過ごすことになった小学生の恭平。
宿泊先は叔母一家のさびれた旅館だった。
物理学者の湯川は海底資源の調査のアドバイザーとして、赴く途中、恭平と出会う。
湯川は、恭平が過ごす旅館に投宿する。
恭平の従妹の成美は、瑠璃ヶ浦の自然を守る運動に参加しており、湯川を敵対視する。
その夜、宿泊客の一人が行方不明になり、翌朝海岸で死体で発見される。
被害者は、警視庁の元刑事の塚原で、過去にこの地で暮らしていた男を殺人で検挙していた。
警察は、事件と事故の両方で捜査をはじめる。
塚原が殺人で検挙した男は、刑務所を出所後、行方不明になっていた。
湯川は早い段階から、成美一家に疑いを持ち、同級生の刑事の草薙に連絡を入れる。


ミステリとしては殺人は1件だけで、地味だが、ストーリーは面白い。
謎解きの部分は、被害者と成美の一家の接点を追いかけるという地味な展開だった。
それでも、飽きさせない構成力は作者の力量を感じる。
それに加えて、主人公の湯川が、恭平に勉強の面白さを伝える描写はいい。
傑作ではないが、このシリーズには高い安定感がある。
キャラクターも立っていて、読みやすい。


真夏の方程式 (文春文庫)

真夏の方程式 (文春文庫)