小さいおうち

作者:中島京子|文春文庫
昭和初期に東北の田舎から、女中になるために上京したタキ。
小説家の家で奉公した後は、時子という美しい女性の家に住み込む。
時子は玩具会社の重役と結婚し、子供も授かり、タキと共に平和な生活を送っていた。
東京の郊外だが、特長的な赤い屋根の家に、タキは誇りさえ感じていた。
戦争に突入しようとしている日本の中で、小さな幸せを守ろうとするタキ。
だが、時子は夫の部下に恋心を抱き、家庭内に波風が立ち始める。
東京に空襲が始まり、タキは生まれ故郷に帰るが、東京から疎開した子供たちの面倒を見る。
子供たちを東京に戻すための引率したタキは、東京大空襲にニアミスする。
戦後、赤い屋根の家に戻るが、跡形もなくなくなっていた。


タキは晩年を迎え、過去をノートに記録していたが、姪の息子に読まれてしまう。
戦前、戦中の日本に対して、暗いイメージしかない孫のような大学生に、悪い時代ではなかったと告げるタキ。



直木賞受賞作で、映画化もされるようで、美しい話だった。
面白いが、自分には刺激が足りなかった。



小さいおうち (文春文庫)

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