「黄金のバンタム」を破った男

作者:百田尚樹PHP文芸文庫
「永遠のゼロ」でベストセラー作家になった作者のノンフィクション。
戦後から十数年経ち、2階級のチャンピンとなったボクサーのファイティング原田を取り上げた作品。
ストイックな姿勢と、無尽蔵のスタミナでチャンピオンに駆け昇っていく。


トレーナーの米国男性との出会いをきっかけに戦後初のチャンピオンになった白井義男の話から始まる。
日本中が熱狂し、ボクサーを目指す少年が増え、ファイティング原田もその中の一人だった。


当時、ボクシングの階級は8つしかなかった。チャンピオンは8人しかいなかった。
現在は階級は細分化され、団体も4つあり、チャンピオンは70人以上いる。
作者はこの時代のチャンピオンの重みを強調する。
さらに、この時代に活躍した日本人ボクサーを取り上げ、群像劇を上手く描いている。


ファイティング原田の凄みと、ライバルたち。
海外の強豪と、ボクシング発展の歴史も興味深い。
作家としての力量を改めて感じさせる作品だ。


「黄金のバンタム」を破った男 (PHP文芸文庫)

「黄金のバンタム」を破った男 (PHP文芸文庫)