ミッドナイト・ラン

作者:樋口明雄|講談社文庫
タクシーの運転手でアル中の松井。証券会社勤務でうつ病の沙希。
裕福な家庭でニートの藤宮。自衛隊の教官で難病に苦しむ入江。
仕事の失敗と借金で行き場を失った元銀行員の原。
彼ら5人はネットの呼びかけで、神奈川県の丹沢で練炭自殺する寸前だった。
ところが、見るからにヤクザに追われている少女を助けたことで、トラブルに巻き込まれる。
少女はそのまま行方をくらませてしまい、5人は誘拐犯として、警察にも追われる羽目になる。
いつでも死ねると開き直った5人は、汚名を晴らすために立ち向かう。
5人の敵となるのは、イケイケのヤクザと街の権力者の犬となった刑事。
5人の協力者となる地域FMのDJと、松井の後輩のタクシードライバー
カーチェイス中心の4日間だが、テンポがよく、面白かった。
いつの間にか、自殺する気分は消えて、生きようとする姿勢に変わるところは良い。
自殺願望5人組だけでなく、脇役の人物造形まで、キャラが立っている作品。



ミッドナイト・ラン! (講談社文庫)

ミッドナイト・ラン! (講談社文庫)