乱心タウン

作者:山田宗樹幻冬舎文庫
都心の郊外にできた超高級住宅街のマナトキオ。
そこで警備員として働く紀ノ川康樹は、住民たちの安全を守るために、仕事にまい進していた。
だが、ここの住民は、金は持っているものの、歪んでいたり、壊れていたりする。
自治会の会長として絶対的な存在として君臨する老人。
気分しだいで、従業員の首を切るが、ブログで自分の正当性を訴える女性実業家。
LOTO6で大金を手にした男性と離婚をしたがっている妻。
ベンチャーで成功した夫と、暇をもてあそぶ妻。


そんな我儘だらけのニュータウンに、カラスの巣の駆除にやってきた悠介。
だが、悠介は住民たちの理不尽な仕打ちで仕事を失ってしまう。
悠介は自らの無実を晴らすために、セキュリティが万全のマナトキオに入り込む。
康樹も悠介に共感を覚えるが、なかなか行動に踏み出すことができない。
マナトキオに侵入した悠介は図らずも、様々なトラブルを引き起こす。


金を持っていることで、選民意識にどっぷりと浸った住民を皮肉った作品。
康樹と悠介は常識的な人物で、住民の理不尽な仕打ちに耐えるとことは共感を覚える。
最後にブラックな結末が待ちうけているが、面白い作品だった。
山田宗樹の作品にハズレはない。



乱心タウン (幻冬舎文庫)

乱心タウン (幻冬舎文庫)