幕末史

作者:半藤一利新潮文庫
ペリー来航から、西南の役までの25年間を描いている。
講義をしているような語り口調でわかりやすい内容だ。
オビには「反薩長史観」と書かれているが、常識的な内容だと思った。
鎖国をしていたが、海外情勢をある程度正確に幕府はつかんでいた。


時代の流れとともに、トピックスとなる人物を取り上げつつ、幕府と薩長の動きも描いている。
幕府の有能な人材。京の都のアジテーター。薩長の倒幕を目指す人たち。
徳川慶喜のおかしな行動に流れる、大奥での不人気というキーワードは面白かった。


大政奉還から日露戦争までの40年、そこから太平洋戦争敗戦までの40年。
戦後の復興からバブルの崩壊まで40年。
40年というスパンで日本という国をみると、当時の責任者の意識があまり変わっていない。
幕末の閣僚と、大戦末期の指導者の右往左往ぶりを重ねているのは面白い。


幕末史 (新潮文庫)

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