あるキング

作者:伊坂幸太郎|徳間文庫
プロ野球の弱小球団の仙醍キングスを応援する夫婦に子供が生まれた。
「王求(おうく)」と名付けられ、父と母から野球の英才教育を受ける。
並はずれた才能を持つ王求は、少年野球チームではホームランを連発し、敬遠されるようになる。
父と母は相手チームの監督に金を払い、王求と勝負してもらうように交渉する。
そんなやり取りが上手くいくはずもなく、王求は公立中学に入り、軟式野球部で活躍する。
王求は上級生に目をつけられ、リンチを受ける。
王求の父親は、その夜に、いじめの主犯格を殺害するが、事件は発覚しなかった。
王求は公立高校に進学し、スラッガーとして活躍するが、父親の殺人事件が発覚し、高校を退学。
その後、テストで仙醍キングスに入団するが、殺人犯の息子として、反発は強かった。


シェイクスピアマクベスをベースにした話。
さりげなく重要人物が出てきて、蘊蓄のある台詞を吐くのは、この作家のいつものパターン。
野球の小説なのに、王求のすごさを数字で表現しないのも、この作家らしい。
でも、そんなに面白くなかった。理想は高いが、共感は出来ない人物を描いている。
独自の世界観を築き上げているが、ここのところテーマは反逆に向かっている。
この作家の力量なら、もっとたくさんの世界を小説の中で作れるはずだ。


あるキング (徳間文庫)

あるキング (徳間文庫)