あの夜にあったこと

作者:大石圭角川ホラー文庫
優也と啓太は、団地暮らしで、派遣工として働いている。
優也は母と、啓太は父と兄を暮らしていた。
団地からは、高級住宅街が見えた。
優也と啓太は派遣の仕事を切られ、金持ちから金を奪うことを企てる。
啓太主導で、犯罪計画が練られるが、優也には穴だらけに見えた。
だが、優也は母と近親相姦の関係にあり、母のために金が必要だった。
結局、優也は啓太の計画に乗り、高級住宅街の医者の家に強盗に押し入る。
だが、穴だらけの計画は、最初から躓き、人質をとったものの、殺人を犯してしまう。


殺される人の半生の複雑なドラマは面白い。
また、行き当たりばったりの強盗が、はからずも優也と啓太を窮地に追い込んでいくのも良い。
作者の新境地かと思ったが、結末はグダグダなのはがっかり。
でも、これがこの作家の作風だし、最近の作品のなかでは、途中までは読ませる内容だった。
伏線を引き、盛り上げるのが上手いのに、結末がつまらないのが不思議で仕方がない。
「アンダー・ユア・ベッド」の惨めさがあまりにもツボにはまったので、期待をしているのだが。