さよならドビュッシー

作者:中山七里|宝島文庫
恵まれた家庭の中で、ピアニストを目指す遥。
親戚で同級生のルシアはスマトラの大地震で両親を無くし、遥の家に居候している。
音楽科のある高校に進学する直前、自宅が火事になり、祖父とルシアが焼死する。
遥も全身にひどい火傷を負うが、卓越した技術をもつ医師による手術で、一命を取り留める。
懸命なリハビリと、岬という天才ピアニストに出会い、遥は再び、ピアニストになることを誓う。
だが、遥が退院後、新たな不審な事件が発生し、遥の家族に新たな死者が生まれる。


火傷からのリハビリは、その苦しさが伝わってくる。
岬というピアニストの指導を受け、ピアノを弾く楽しさが戻ってくる希望も伝わってくる。
にもかかわらず、焼死した祖父の遺産をめぐり、家族はぎくしゃくしはじめる。
自身も心に傷を負っている岬が探偵役となり、遥の家族のトラブルを解決していく。


リハビリの描写と 音楽家に対する蘊蓄はいいし、謎ときの部分も意外だった。
青春小説として読めば面白いが、ミステリとしては少し物足りなかった。
でもまあ、面白い。



さよならドビュッシー (宝島社文庫)

さよならドビュッシー (宝島社文庫)