PINK

作者:柴田よしき|文春文庫
神戸の震災で婚約者を失ったメイは、その後の混乱を乗り切り、関東の医者と結婚する。
だが、夫の転勤で再び、神戸で生活を始める。
その直後に、「そろそろ時間切れです」という差出人不明のメールが届く。
その日から、夫の食事の癖や、態度が変わり、別人になったのかと思う。
メイは神戸時代から親交のある占い師に相談をするが、直後に夫が殺人容疑で逮捕される。
結婚前に神戸を訪れたことが無いと言っていた夫は、震災前の神戸の写真のフィルムを持っていた。
そのフィルムに映った写真を訪ね歩き、震災前の記憶を徐々に取り戻していく。


喪失感と忌まわしい記憶を失ったヒロインを描いたミステリ。
震災の生々しい記述に加え、宗教問題も絡み、面白い内容だった。
ただ、主人公が事件の原因となったことに記憶を失っている設定はフェアではない。


PINK (文春文庫)

PINK (文春文庫)