魔欲

作者:山田宗樹|角川文庫
広告代理店に勤める佐東は、敏腕ディレクターとして活躍していた。
リエーターや営業担当者の信頼も厚く、仕事は上手くいっている。
一方で、独身の彼は、人妻と不倫関係にあり、相手の旦那のふがいなさをバカにしていた。
人妻から関係を解消を告げられたが、また戻ってくるだろうとたかをくくっていた。
だが、人妻の旦那が電車に飛び込み自殺をしてしまい、直後から佐東は電車に飛び込みたい衝動に襲われる。
佐東は精神科医の診察を受けるが、その医者は妻の浮気に悩んでいた。
軽い気持ちで入院を決めた佐東だが、医者は佐東に対して嫌悪感を募らせる。


精神科医と佐東の視点で交互に描かれる。両者の関係性は最初は気づかない。
医師が佐東に対して、憎しみを覚え、いき過ぎた電気ショックを与えてしまい、佐東がおかしくなっていく。
佐東は自殺願望がさらに高まり、見舞いに訪れた上司に見限られてしまう。
人の心をコントロールできるのかというサスペンスで、そこそこ面白かった。
ただ、佐東と医師の関係性は早くからわかるので、ちょっとスリルにはかける。