さよならの空

作者:朱川湊人|角川文庫
21世紀の地球。
オゾンホールが出現し、その拡大を食い止めるため、女性科学者のテレサはある化学物質を開発する。
その物質はオゾンホールの解消をするものの、その副作用で夕焼けの色を奪ってしまうことが判明する。
夕焼けを見ることが出来ないことに悲観したパリの女学生は自殺をした。
化学物質の散布は、日本でも行われることになり、「夕焼け最後の日」を見守ることに。
家族に恵まれない少年トモルは、一人で夕焼けを見に行くことにした。
そこで夕焼けの色を消すことを阻止しようとするテロリストのキャラメルボーイと名乗る男に出会う。
さらにトモルは、訳有りでホテルを脱出したテレサとも行動を共にすることになる。
横浜に向かう3人は、「夕焼け最後の日」に不思議な光景を目撃する。


ノスタルジックな雰囲気を描くのは上手く、そこそこ面白い作品だった。
特にトモルの担任の先生が夕焼けが無くなってしまうことを生徒に説明するシーンはいい。
初期の頃のホラーの要素はこの作品では薄く、それは悪くない。
ただ、キャラメルボーイというキャラクターは、何となく伊坂幸太郎のテイストを感じた。